やたら存在感のあるフォント… 「創英角ポップ体最高!」
創英角ポップ体最高! (同人する子) |
「創英角ポップ体最高!」 とは、日本語デジタルフォント (PostScriptフォント) である創英角ポップ体 (基本は HG〜・HGP〜・HGS〜 の3種) が最高であるとの意味の言葉です。
直接的な 元ネタ としては、2017年11月に グループ SNEによって販売されたボードゲーム 「テストプレイなんてしてないよ」 において、プレイヤー への指示や勝利条件が書かれたカードの内容の一部となります。 すなわちこのカードを引いたら、「創英角ポップ体最高!」 と叫ぶように指示されているわけです。
このゲームでは、こうした 「○○すれば勝利」(あるいは敗北) といった様々な指示や条件の提示があり、それができれば、あるいは他のプレイヤー全員を負かせれば、そのプレイヤーの 勝利 となります。 できなければ敗北です。 指示は ネタ っぽいものが多いのですが、数ある中でも 「創英角ポップ体最高!」 はインパクトがあり、SNS などを通じて話題に。
とりわけデザインの世界では創英角ポップ体が何かとネタや話題になりがちなので (後述します)、以降は一種の ネットスラング やネタ用語としてもよく使われるようになっています。 笑いどころとしては、デザイナーが 「口が裂けても創英角ポップ体最高とはいえない」 という矜持から敗北するしかないといった部分となるのでしょう。
何かと話題になりがちな 「創英角ポップ体」
創英角ポップ体は、創英企画により制作され (販売はリコー)、その独特な明るく元気でやわらかい見た目、高い視認性・可読性などから、フォントなどにさほど興味のない人にも 認知 されるほどの大きな存在感を持つフォントです。 とくに有料フォントをいちいち個別購入などしない一般のパソコンやワープロの利用者にとって、Windows パソコンにバンドルされた Microsoft Office 製品に最初から入っている創英角ポップ体は馴染みのあるものでしょう。
多用されがちなのは、デフォルト で入っている他のフォントでは代替できないほどの極太文字フォントとして扱える点が便利なためでしょうが、お手製の ポスター や チラシ といった掲示物や配布物、なかでも学校や行政などのプリントや資料、ポンチ絵 では昔から濫用されすぎるきらいがあります (フリー素材 のいらすとやさんの イラスト とセットで使うと破壊力も抜群)。 しかも元々極太なのにさらにボールドまで掛けるので、画数の多い漢字などは潰れてしまったり (ウエイトがかからず単に文字を太らせているだけなので見た目も汚くなりがち)。 この文字を目立たせたい → とにかく大きな文字で目立つ 色 で太字でという安易な発想が、いかにも 素人 っぽくなる原因でしょう。
本来はポップ体というように、店舗の手書きPOP広告をイメージし、展示・ディスプレイ 用途で 映え るフォントですが、やたらと使われるうえに使った際の存在感があまりに強いため、デザインの世界では 「素人くさい」「ダサいフォント」「プロが使ってはいけないフォント」 のような揶揄の対象とされがちです。
でもまあ実際、よくできたフォントなんですよね
とはいえ、フォント自体の印象やクオリティは素晴らしく、素人が TPO を考えずに使いすぎたために不当な評価がされがちなのは切ないというか気の毒な感じがします。 個人的には 筆者 も仕事・趣味 問わずほぼ使わないフォントではありますが (創英丸ポップ体はたまに使いますw)、よくできた素晴らしいフォントだよなとは常々思っています。
まいばすけっとロゴで創英角ポップ体最高! |
ネットで度々話題となることもあり、創英角ポップ体の 開発・制作秘話などもネットメディアでしばしば取り上げられ、開発に至った経緯や苦労話などは、当時のフォントやパソコンの話題ともども興味深く、また心を揺さぶられるものがあります。
まあそれでも学校の掲示物などでよくわからない円形文字列に並べられ虹色のド派手な グラデ のワードアートまで使って利用されているのを見ると (俗にいうレインボー創英角ポップ体)、やっぱりちょっと笑ってしまうというか、しみじみ 「やっぱダサいよな…」 と思ってしまう部分はあります。
ちなみに関東地域にはコンビニとスーパーの間みたいな規模のお店として、都市型小型食品スーパー 「まいばすけっと」 がありますが (右写真)、これの店舗ロゴも創英角ポップ体を使っています。 気取らず元気な明るいイメージで、庶民的で親しみやすいお店の性格やポジションをよくあらわす優れたロゴといって差し支えないでしょう。 とくに可読性の高さは、ちょっとこれ以上のものはないでしょう。
それはそれとして、「創英角ポップ体最高!」。