男がいても、小学生低学年と爺さんならギリ許せる… 「小2後期男」
「小2後期男」 とは、小学校2年生まで (7歳〜8歳) と、後期高齢者以降 (満75歳以上) の男性のことです。 単に 「小2後期」 とも呼びます。 要するに9歳から74歳までの男性以外の男性のこと、別の言い方をすると 「小さい子供とおじいちゃん」 となります。
言葉としては、キャラクター として美少女ばかりが登場する アニメ や ゲーム といった コンテンツ が好きで男性キャラの登場を疎ましく思う一部の ファン が、「どうしても男性キャラを出す必要があるのなら、ギリギリ小2後期までなら許せる範囲だ」 という気持ちを表したものとなります。 より端的に云えば、「自分の好きな作品に男は出すな、関わらせるな」 という意味となります。
ただし人によっては小学校4年生あたり (10歳程度) まではギリギリ許しても良いのではないかとの意見もあります (小4後期男)。 10歳は個人差があるもののおおむね声変わりする直前の年齢であり、アニメの場合に演じる声優さんが女性声優の場合が多い、またキャラの見た目も第二次性徴前で男女の区別が明確でないケースが多いのも、多少影響しているかも知れません。 また男性であっても 男の娘 なら許せるというファンも少なくありません。
自分の好きなキャラや美少女たちに、劇中で男が絡んで欲しくないという気持ち
なぜこのような 概念 が出てきたかと云えば、物語に男性が登場すると、自分の好きなキャラや美少女たちと劇中であれこれと絡むこととなり、そこに恋愛感情や恋人関係など 「望ましくない展開」 が生じかねないことに不安を感じるからです。 またそれが高じて不快感を覚えたり、ストレスを受けたりします。
とくに 推し のキャラの同級生やクラスメイト、同年代でアルバイト先の仲間といったポジションだったり、学校の先輩や教師、親戚といった身近なポジションに男性キャラがいると、人によっては不安やストレスを通り越して強い嫉妬や憎しみが生じたりもするものです。 場合によっては単なる通行人 (モブ) であっても、「男はいらない」「視界に入らないで欲しい」 との極端な人もいたりします。
もちろん男性キャラが登場したからといって、必ずしも自分の好きなキャラと恋愛的に結び付くわけではないのですが、制作側がわざわざ男性キャラを登場させる以上、そのキャラには何らかの物語上の役割があるはずで、疑心暗鬼になり必要以上に警戒したり、そもそも 「可能性を生み出しただけでアウトなんだよ」(後述します) と思うファンも少なくないようです。
恋愛感情が芽生えたり、それに伴って行う行動などは、女の子の可愛さや健気さ、魅力が最大に発揮される部分でもあるので、異性を完全排除するとそこをまるごと スポイル する結果となってしまいます。 しかし 百合 やGL (ガールズラブ) な作品、あるいはその風味が少しでもある日常系の作品の場合、ファンは美少女同士の キャッキャウフフ が見たいわけなので、理由を問わずノイズ成分である男性キャラはいらないとの意見は根強いものがあります。
これは、男女を反転した 薔薇 や BL などにおける女性ファン (腐女子) の場合も似た傾向を持っていますが、女性ファンの方はより厳しく同性である女性キャラを拒否し、どうしても必要な場合であっても、ギリギリ 「赤ちゃん後期女」(赤ん坊とおばあちゃんなら許せる) みたいなことになっているケースも見受けられます。
特例として父親や祖父はセーフになりがち
なお特例として、美少女キャラの肉親・家族である父親や祖父の場合は、年齢を問わずセーフ判定がされるケースが多いようです。 これは 健全系 の作品であれば、常識的に考えて作品に登場する美少女キャラと恋愛関係になることがほぼ考えられないこと、また美少女側が父親や作中友人の父親に憧れやほのかな恋心を一時抱いたとしても、それが成就することはまずないであろう点が理由に挙げられます。
とはいえそれでも気にする人は気にしたりもするので、その場合は父親や祖父をおよそ恋愛対象となりそうもない奇人変人に描いたり、妻とラブラブに描いたり、存在がほのめかされるだけ、体や後ろ姿は登場しても顔は見せないなどの配慮がなされることもあります。
なお同じ家族でも兄は年齢に関わらずほぼアウト、弟は他の男性キャラと同様に小学校2年生まではセーフと云うことで、家族としての特例は受けられないようです。 従弟といった親戚関係もほぼ同様ですが、イケメン だったりすると強い恋愛の フラグ が生じやすいため、場合によっては赤の他人よりも厳しい判定がなされることもあります。
異性キャラが一切登場しない作品の同人・二次創作の場合
当然ながら男性が全くあるいはほぼ出てこない百合・GLっぽい作品の エロ な 二次創作 を描く場合、絡ませる作中男性が存在しないので、同人作品 も百合やGLといった ジャンル に偏ることとなります。
これは元作品の作品傾向やファンの好みもそうなのですから、当然でしょう。 それでも男女の 絡み を描きたい・読みたい場合は、その二次創作中のみで使い捨てるモブに登場してもらうしかありません。 この場合のモブも、当然ながら顔はほとんど描かないケースが多いものです。
「可能性を生み出しただけでアウトなんだよ」 という言葉
なおこの概念に近い言葉・フレーズとして、「可能性を生み出しただけでアウトなんだよ」 があります。 これはかわいい女の子のアイドルばかりが登場するゲーム 「アイドルマスター2」 にイケメン男性アイドルが参戦するとの情報が 2010年9月18日の東京ゲームショウ (TGS)、ファミ通.com で発表・告知 された際に、熱心なファンによって総統閣下動画を通じて発せられた悲痛な叫びです。
この動画では、「アイドルの周辺にイケメンアイドルとか嫌な発想しか浮かんでこないだろうが」「現実でもアイドル同士の交際発覚でファンが阿鼻叫喚としているというのに」 などとした上で、仮想現実のゲームでそんな シチュエーション を生み出しかねないイケメンアイドルなどこの作品には必要ないとし、さらにそれが盛り上がっていた同作の二次創作における カップリング などにも影響を与えると危惧。 それらファンの不安な気持ちを 「(作品内でそういった) 描写がなければいいという話じゃない、可能性を生み出しただけでアウトなんだよ」 としたものでした。
この意見には賛否両論あったものの、おたく な 界隈 では絶大な人気を誇るビッグタイトルの衝撃の発表だったこともあり (その他、様々な衝撃ニュースがこの時はありましたが)、男性ファンの気持ちを代弁するものだとの支持を一部から強く受け、流行語ともなりました。
「後期高齢者」 という言葉
ところで満75歳以上の人を 「後期高齢者」 と呼ぶようになったのは、2008年から施行された 「後期高齢者医療制度」 とその議論からとなります。 少子高齢化によって国の老人に対する医療費支出が増大し、福祉関連の財源が逼迫する中、従来の 「老人保健制度」(1983年制定) を見直す形で登場した新しい制度が、この 「後期高齢者医療制度」 でした。
それまでの制度ともっとも違う点は、公費と国民健康保険・社会保険の支援金によって全額まかなわれていた老人の医療費に、個人の自己負担が生じたことです。 具体的には、病院などを受診した際に発生した医療費全体から、原則1割 (高所得者は3割、それぞれ上限は年間50万円) の自己負担額を支払うこととなります。
この制度が国会で議論されると、「老人切り捨て」「弱者 いじめ」 だとして野党や大手メディアが批判や反対運動を繰り広げます。 しかし自己負担がないため病院を暇つぶしの寄り合い所のように使う老人の姿や、超高齢社会に突入し現役世代の負担額だけでは老人を支えられなくなってきたこと、老人世代が若者世代と比べ相対的に豊かであること、現役世代の負担や不公平感の高まりから、仕方がないという意見も強いものでした。
なお満75歳以上の高齢者を 「後期」 と表現した理由については、人の状態を年齢や前期・後期といった形で区切る言い回しはよくあることなので、特段の意味はなかったのだと思います。 国連の世界保健機関 (WHO) の定義によれば65歳以上の人のことを高齢者と呼ぶので、我が国ではこれをさらに細分化し、65歳から74歳までを前期高齢者、それ以降を後期高齢者と呼ぶことにしただけです。
ただしこの制度改革を進めた自民党 小泉純一郎氏は首相退任後に講演会でネーミングについて語り、「終末とか末期よりいいということで後期になった」 と冗談めかして回想し、会場の笑いを誘っていました。