毎朝新聞とかワクドナルドとか… 「名前もじり」
「名前もじり」 とは、実在する個人や企業・団体の名称をもじること、似たような言葉や文字でそれっぽい異なる名称にすることです。 いわゆる 伏せ字 の一種、あるいは パロディ として、実名をそのまま出せない場合に用いられます。 また名称や商標だけでなく、ロゴやその他の意匠を似たものにすることもあります。
ありがちなのは、現代の日本を舞台とした マンガ や アニメ などの コンテンツ において、新聞やテレビといったメディア、コンビニやファミレス、ファーストフードなどの店舗、あるいは政党や官公庁、その他の企業名などをもじるものでしょう。 例えば新聞なら毎日新聞と朝日新聞を合わせた 「毎朝新聞」 とか、マクドナルドを モチーフ にした 「ワクドナルド」、政党なら自民党をもじった民自党などです。 トラブル を避けるため、人名はもちろん地名などが選ばれることもあります。
日本の 日常 の生活や事件・事故を作品内で表現する際、新聞や街のチェーン店などはリアリティを高めたり 世界観 を作るための小物や舞台として欠かせないものです。 しかし商標権などの問題があってそのままの名称やロゴマークなどが使えないことも多いため、一部をもじって変更した架空のものとして描かれたりします。 もじりではない純粋な伏せ字の場合もあります。 「〇日新聞」 とか 「マ〇ドナルド」 などですね。 これらはセリフとして使われることが多いかもしれません。 ただし実話をベースとした 作品 や 物語 の場合は、そのまま用いられることもあります。
一方、二次創作 の 同人 の世界で、元作品と区別し不必要に元作品の ファン の目に入らないよう、元作品名や キャラ の名前をもじったり 誤変換で当て字 する場合もあります。 これは名前もじりの他、腐女子 の世界では一般に 検索よけ と呼びます。 とくに様々なファンが集う場では、ゾーニング のための タグ などでも用いられ、特殊な呼び方をするタグは腐タグや腐向けタグ (やおい や BL の要素がありますとの意味) と呼びます。
実在する企業・団体の名前もじり対応
映画やドラマなどで、街の実写風景の一部としてこれらの商標やロゴがほんの少しだけ表示されるのは問題がありません。 あくまで誰でも見ることができる野外風景の一部だからです。 マンガやアニメ (後には ゲーム など) の場合は 「わざわざ図案として描き起こしている」 ので、問題になる可能性が生じると思われ配慮されるわけですね。
また実写でも、店舗や商標・ロゴがクローズアップされたり、そのシーンやカットで象徴的に描かれる場合は、当然許諾や契約を結んだ上で使用するか、架空のものに差し替えることになります。 とくにテレビドラマの場合、番組スポンサーとの関係で競合他社の商標やロゴ、店舗や商品がそれと分かる形で表示されるのはご法度な部分がありますので、単なる風景にも、ちゃんとしたリサーチや配慮がされています。
一方、スポンサーとの関係もあり、映像作品に店舗などが表示されることの広告宣伝効果を狙い、企業側との何らかの契約や協力合意の元、そのままの形で描かれることもあります。 とくに映画や大規模なゲーム制作などの場合、巨額の費用が必要なこともあり、一種の プロモーション 用として協賛金を得るための 枠 として風景を使う場合もあります。 この場合は映画の公開やゲームのリリースに合わせて コラボ企画 などが実施されることもあります。 こうしたスキームは広告代理店などが間に入り、映画やアニメの制作でしばしば作られる異業種が加わる制作委員会形式の座組の中で行われたりします。
類似のもじり手法は前述した新聞やチェーン店の他にも様々あります。 作品に触れる 読者 や 視聴者 が何となくイメージできればいいので、似たような言葉なら何でも良いのでしょう。 ただしもじった対象を揶揄・批判する文脈が強かったり、イメージダウンにつながりかねない表現となる場合は、配慮がされたり許諾を求めても拒否されることもあります。 例えば自動車メーカーや鉄道事業者の場合は、事故を連想する表現、とくに車体が著しく損傷する、潰れた車両と被害者の遺体が一緒に映るような表現は、例え協賛関係があってもメーカー名やロゴが隠されることがあります。 また一種のバーター取引の形で、カースタントなどで潰れた車両を映すのと引き換えに、同じ会社の車が別のシーンでかっこよく描かれたりします。
一方、反社的な団体や政治団体、宗教団体などの場合は、例え偶然の一致だとしても似た名称となると誹謗中傷されたとの強い抗議や訴訟沙汰、場合によっては恐喝や暴力沙汰の可能性が高まるため、こうしたもじりはあまり使われません。 例えば暴力団の名称などは、いわゆる実録もので関係者の了解が得られた場合は実名やそれに近い名称が用いられることもありますが、通常はまず絶対にありえない名前や架空であるのが明白な名前が使われます。 極悪組とか目高組とか青空組とか雀組、集英社のマンガなら集英組、講談社なら講談組みたいな名前ですね。
1992年から施行された暴対法 (暴力団対策法)、および各自治体によって定められた暴排条例 (暴力団排除条例)、コンプライアンス重視の世相などもあり、現在は報道目的ならいざ知らず、反社団体を好意的に描く作品で直接許可を求める交渉をしたり金品の授受をすることなどは原則違法です。 建前上、あり得ない名前以外の選択肢はなくなってきています。 一方で、法律による取り締まりが強化され、ひと昔前のような難癖や言いがかりでの恐喝などは反社側も割に合わないと控えるようになっていますし、ネットなどを通じて実在暴力団の名称が調べやすくなったこともあり、「それっぽい名前」 のものも作られて用いられるようにもなっています。
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