現場に行けなかったり、現場に興味がなかったり… 「在宅組」
「在宅組」 とは、何らかの事象に対してその場 (現場) にいるかいないかについて分類する場合に、現場にいない、あるいは現場にあまり興味がなく、それ以外の活動が中心となっている人を指す言葉です。 対義語は一般に 現場組 と呼びます。
もっともよく使われるのは、おたく の世界においてアイドルの ファン らがライブやコンサート、サイン会や握手会といった 会場 へのリアル参加を伴う イベント に対し、「その場に参加しない人」 を指す言葉としてでしょう。
一般の言葉でも現場組 (あるいは現地組) との対比でオフィス組とかデスク組といった言い回しをしますが、アイドルファンの場合にことさらに在宅組と呼ぶのは、「現場に行かず、CD や DVD を自宅で聴いたり観たりしているファン」 という意味から生じた おたく用語 だからです。 すなわち日ごろは現場組のファンが自宅組を名乗る場合は 「チケットが取れなかったので今日はおとなしく家で CD を聴きます」 といった意味でも使われます。
在宅組と現場組、ファンの考え方の違いから生じることも
アイドルファンにもいろいろあり、そのアイドルに ガチ恋・リアコ なくらい熱心だけれど、実物は見たくない、会いたくないというファンも意外に結構います。 あるいは遠く離れた席から舞台を観るライブにはギリギリ参加できても、握手会やお渡し会といった接触系イベントは嫌だという人もいます。
理由は様々で、自分の中の理想像が壊れるのが嫌だ、万が一 塩対応 でもされたら 萎え てショックから立ち直れなくなるとの恐れ、逆にあまりに親切にされたり等身大の姿を目の当たりにすることで相手が自分と同じただの人間に思えて偶像性やカリスマ性が薄れて困るとか、他のファンやうるさい応援、オタ芸 が ウザイ などです。 単に 「お金や情熱がなくて現場に行かない・行けないのが在宅組だ」 というのは誤りなので注意が必要です。
場合によっては現地で大騒ぎしたいだけの現場組よりよほど熱心でお金も使っている在宅組のファンも大勢いますし、現場組のファン活動・推し活 の経済的・時間的リソースの多くがチケット取りや 遠征・移動のための交通 宿泊 費、同じ現場組との交流に割かれるのに対し、在宅組はその全てを 推し への応援に使えますから、コアな在宅組だということに強い自負を持っている人も少なくありません。
このあたりはファン活動のスタイルの違いに過ぎないので、どちらが上でどちらが下ということはないのですが、一般的には 「現場に来ないくせにアイドルファンを名乗るな」 みたいな意識が現場組には少なくありませんし、実際に多くの在宅組が経済的な理由などで現場に行けないだけだったりもするので (それが理由で現場組を 引退 して在宅組としてやりますみたいな云い方も多い)、このあたりの温度差は場合によっては様々な軋轢を生むこともあります。
まあ実際、同じくらいファンとしての カロリー が高くても、小中高校生と大学生、社会人では経済力に違いがありすぎますし、東京や大阪といったイベントが開催されやすい大都市圏に住んでいる人と地方に住んでいる人とでも、現場に行くコストが桁違いに異なります。 現場に行きたくても行けない場合に、現場組への嫉妬から必要以上に厳しい意見を投げかける在宅組が煙たがられる現実もあります (これは逆の場合もそうです)。 同じアイドルのファン同士で マウント し合って争っても仕方がないので、「自分とは 環境 や考え方が違う人がいる」 と思って無用な摩擦を起こさないことが大切なのでしょう。
様々なイベントで、ネットでエア参加する場合も
なお コミケ といった 同人イベント の話を ネット でする場合にも、この在宅組という言葉はよく使われます。 イベントに サークル参加 や 一般参加 する人に対し、「私は自宅で応援しています」 といった ニュアンス となり、現場組が 掲示板 や ツイッター といった SNS に 投稿 する現地情報を見て茶々を入れたり、場合によっては現地に行ったふりをして偽の 実況 を 書き込み して盛り上がる場合 (エアコミケ) もあります。