ラインストーンやビーズ、リボンでキラキラかわいい 「デコる」
「デコる」 あるいは単に 「デコ」 とは、「デコレーション する」 を略したり動詞化した若者言葉です。 「デコ」 は英語の decoration そのままに 「装飾」「飾り付ける」という意味で、同様の使われ方はデコレーションケーキをデコケーキと呼んだり、トラックを電飾やメッキパーツなどで飾り立てることをデコレーショントラック (デコトラ/ アートトラック)、その影響を受けた改造車や自転車をデコ車とかデコチャリと呼ぶなど、昭和 の頃から存在します。
一方、1990年代末から2000年代にかけて、一部の女子中高生らによる携帯電話 (ガラケー/ フィーチャーフォン) の キラキラ したデコ (デコレーション携帯電話 (デコ電) が話題となり、一躍若者の間の流行語としても広がっています。 元々女子中高生などは持ち物にあれこれと装飾をしがちではありますが、デコ電は アクリル やプラスチック製の安価なラインストーンを接着剤で携帯電話本体にびっしり貼り付けたり (専用のデコパーツもある) 大量の アクセサリー をぶら下げるなど部外者から見ると単にド派手なだけでなくいかにも使いにくそうなものに見え、女子中高生向け雑誌や大手メディアなどでも特異なものとしてよく取り上げられたという点も大きいのでしょう。
同時期にはド派手なネイルアートや長いネイルチップ (つけ爪)、ラインストーンをメイクに活かしたデコメイクも流行し、こちらも男性や興味のない女性から見ると 日常 の生活に不便を感じさせるほどの過剰さで、これらを使いこなす ギャル の奇抜な ファッション やイメージともども、注目を集めるものだったのでしょう。 また1995年に登場したプリクラ (プリント倶楽部) が街のゲームセンターに設置され、自撮り写真をキラキラに加工してシールにすることも可能となり、同時期に大ヒット。 いわゆるギャル文化や kawaii 文化の中核を担うものとして存在感を得ています。
ちなみにそれ以前までのゲーセンは男性の遊び場といった 雰囲気 が現在よりはるかに強いものでした。 女性用の ゲーム と云えば占いゲームやパズルゲームが少しあった程度で、たばこの煙がもうもうと立ち込め 治安 も悪く、地域の不良やヤンキーのたまり場のようなイメージです。 しかしこれまた同時期に爆発的ヒットとなったクレーンゲーム (UFOキャッチャー/ 登場は1985年、ブーム到来は アニメ やゲームの キャラクター が景品として採用されるようになった1990年頃) によって、カップルや若い女性客が少しずつ増えるタイミングでもありました。
業界も明るく誰でも楽しめる場としてイメージアップを図っている時期でもあり、ファミレスやファーストフード店、カラオケ や繁華街の通りや広場ともども夜の街が若者の場 (いわゆる バブリー な時代とは異なりリーズナブルな楽しみ方のできる場) になったといってよいでしょう。
プロフサイトやメール、写メ、デコれるものは全部デコる
とりあえずデコれば何でも当世風の 「デコ〇〇」 になります。 デコ電の他にも文房具やちょっとした日用品などにデコが見られましたが、デコ電を通じてそれ以前から普及していたポケットベル (ポケベル) でのデコりや ネット でのデコりも流行します。
とくにネットのデコりは大流行し、ありがちなのは宝石や貴金属といった光もの系の 画像 や アイコン、絵文字などを使って自分の ホームページ や プロフ、メール や 写メ などを飾るものです。 これらはデコページとかデコプロフ、デコメール (デコメ)、デコ写、そのための 素材 をキラキラ素材やデコ素材と呼んだりします。
当時は携帯電話の シェア 争いが苛烈で携帯各キャリアや携帯電話メーカーらがしのぎを削っており、女性向けのデコ機能やアプリ、サービスなども次々に登場しては進化しています。 いわゆるケータイホムペは女性向けの スペース で作られ、プロフサイトや携帯小説の 投稿 サイトともども、独特のネット文化も作り出したり既存文化の盛り上がり (夢 とか お絵描き とか) に貢献しています。
ネット以外で おたく や 腐女子 に近いところでは、推し活 の一貫としてアイドルグッズや ライブ などに持ち寄る応援グッズをデコったり (デコグッズ・デコうちわとか) 、キラキラした感じの飾りつけはおおむねデコで表現されるようになっています。 なかにはアニメ 「ガンダム」 のプラモデル (ガンプラ) をギャル風にデコったある種の 魔改造 も登場しています。
その後この 「デコる」 で表現される装飾の一部は 盛り という表現にも別れ、その後は盛りという言葉が優勢ともなりますが、デコるも使いやすさからもっぱらキラキラした装飾に対して引き続き用いられ、用途や ジャンル、あるいはその時々の文脈や ノリ で使い分けられています。 デコったり盛ったりで撮影した写真がいい感じになることは 映え と呼びます。
とりあえずかわいくキラキラ飾ればみ〜んなデコ!
デコの特徴は派手な 色 の使い方や過剰な装飾などいくつかの特徴がありますが、何といってもキラキラと光り輝くアクリル製ラインストーンやビーズ類の多用がその最大のものでしょう。 本物の宝石、あるいはスワロフスキー (クリスタルガラス) と違い極めて安価で、デコり用に裏面に糊がついたシール状のものもあり、女の子向けのファンシーショップなどで手軽に購入できる点が魅力です。
とくにこうしたニーズを汲み取った100円ショップなどにこれらのフェイクストーンがパーツとして売り出されるようになると、友人間で競い合ってよりド派手でかわいいデコが好まれるようになっています。 極端にデコったものは、強調の 鬼 を接頭して鬼デコなどと呼んだりします。
元々女の子の多くはキラキラした宝石やガラス玉、あるいはかわいらしいシールやちょっとした リボン などが大好きです。 小中学生向けの安価で可愛らしい雑貨を販売しているサンリオやらサン宝石 (サンホ) やらカミオジャパンなどの商品を通じて よく訓練 されているため、それが高校生や場合によっては社会人になっても影響を色濃く残したファッションや 趣味 として定着することになったのでしょう。
さすがに大人で日常のファッションに取り入れている人はそう多くはありませんが、ライブや何らかの イベント といった特別な日は リミッターも解除 され、訪れた 会場 などの 現場 で同じ ファン 同士で披露し合うのも楽しいものです。 また家で作る時、あるいはどのようにデコるかを考えながらお店でパーツを選ぶのも楽しいものでしょう。
なおデコトラのように電飾で飾ることは、2010年代になるとゲーミングと呼ぶことも増えています。 これはゲームの プレイヤー 向けに販売されるパソコンやその周辺機器、ガジェット などに色とりどりのド派手な電飾を施したものをゲーミングパソコンとかゲーミング〇〇と呼ぶようになった影響です。





