同人用語の基礎知識

夏に薄い本が出るな

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このアニメキャラは人気が出る… 「夏に薄い本が出るな」

 「夏に薄い本が出るな」 とは、テレビ番組改編期に新しく放映を開始した新作 アニメキャラクター が、いかにも おたく が好みそうなキャラだ、この先人気がでるに違いない…といった形で分析、もしくは賞賛する時に使うセリフです。

 薄い本 とは、主に 18歳未満禁止同人誌、すなわち 「エロ同人本」 を指す言葉です。 つまりこの作品、もしくはこのキャラを モチーフ とした 二次創作 の同人誌 (アニパロ本) が、夏 (夏の コミケ) にたくさん出る、同人 や おたく の 界隈 で必ず大きな人気となって溢れかえる) という意味になります。

薄い本になる=同人誌でエッチなことをされてしまう…?

 その作品の ファン が、自分の好きな作品やキャラを褒めるために 「夏に薄い本が出るな」 を使う場合もありますが、前述した通り、「いかにも おたく が好みそうだ」「アニオタ が喜びそうだ」「萌え 豚が ブヒブヒ と喜びそうだ (ブヒキャラ だ)」 との、ちょっと突き放した意味、冷ややかな意味で使う場合もあります。

 また逆に、真のファンやその作品の関係者 (作者 やアニメの声優、その他) が、少々批判的、悲観的な意味で使うケースもあります。 すなわち、「自分の好きなキャラが、同人誌でエロいことをさせられてしまうのが悲しい」「キャラがズリネタとして消費されるのは残念だ」 といった ニュアンス です。

 当然ながら、春のテレビ番組改編期に始まった新しいアニメなら 「夏に薄い本が出るな」、秋なら 「冬に薄い本が出るな」 となります (ただし、アニメ放映開始時期とコミケ開催時期の他、微妙なニュアンスの違いもあります)。

こりゃ、次のコミケではジャンルコードが作られるな…賞賛表現様々

 一般的にコミケをはじめとする 同人イベント頒布 される同人誌はページ数も少なく、書店などで手にする市販本に比べると、ずいぶんと薄いものです。 こうしたエロ同人誌を指す隠語のようなものは、面妖本 とか 蛍ピ必須本 などというものもありますが、こうした 「コミケや同人誌即売会、同人 全般での反応」 を比喩として、アニメや マンガゲームラノベ などの人気を占う表現は、昔から色々なものがあります。

 例えばコミケなどのような大規模で オールジャンルイベント では、人気があり数多くの 同人サークル が同人誌を作る作品などは単独の ジャンル として確立し、個別の ジャンルコード などが割り振られます。 これを当てはめ、「冬にはジャンルコードが 設定 されるだろうな」 などと、その人気上昇を表現する場合があります。 同人やコミケに詳しい人なら、どのくらいの人気になるか、何となく予想がつきます。

 また特定のサークル (非常に人気が高い 大手サークル など) の 新刊 の発行傾向になぞらえて表現する場合もあります。 例えば 「サークル○○が段ボール50箱分の新刊を引っさげて を占拠する レベル」 などは、その作品なりキャラなりが絶大な人気を誇ることを見通しながら、同じ 趣味 のひとだけにわかるような言い回しをする点で、いかにも おたく っぽい、ひねった賞賛表現だとも云えます。

 これら一連の 「夏に薄い本が出るな」 や 「薄い本」 が ネット (ネトラジや 掲示板 など) で使われるようになり広まると、その後は前後の脈絡を知らないまま、エロ以外の同人誌全般を 「薄い本」 と呼ぶような使い方もされるようになっています。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2010年7月5日)
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