同人用語の基礎知識

認知負荷

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考えることが多すぎて脳みそオーバーフロー 「認知負荷」

 「認知負荷」 とは、人間の脳の処理能力に対する負荷、思考やそれに伴う 認知 や意欲といった精神的な処理能力部分に対する圧力やプレッシャーのことです。 どのようなものが認知に負荷を与えるか、その量はどのくらいか、それがその人の思考や行動にどう反映するかはケースバイケースですが、処理能力を超えるほどの過大な認知負荷 (入ってくる情報が多すぎる) が生じると、著しくパフォーマンスが低下したり、場合によっては情報処理することを諦めて放棄することにもなります。

 元々認知負荷という考え方や 概念 は心理学者によって提唱されたものです。 実際問題としてあまりに多くの情報が洪水のように入ってくると処理しきれなくなって思考力も落ち、本来ならあり得ないような でいい加減な理解やそれに基づく判断を下してしまったり、モチベーションが消え失せて 「もうどうでもいい、勝手にやってくれ」 みたいな状況になりがちです。 各種実験結果はもとより、多くの人が日々の生活の中で身につまされる実感を伴うことから広く支持されている考え方だといって良いでしょう。

悪用されることもある認知負荷

 こうした考え方はビジネス、とくにマーケティングや組織運営・人材管理といった分野でも、個々人の仕事への取り組み方や生き方に関する分野でも、様々に取り入れられるようになっています。

 例えばマーケティングでは、プロモーション において複雑だったり膨大すぎる情報をあえて削ぎ落し、シンプルな訴求を行うようにするとか、通販サイトなどで複雑な注文フローを見直す、人材管理なら一度にいくつもの仕事やその情報を押し付けないなどが代表的です。 政治的な テーマ では、あえて論点をひとつに絞り、複雑な話をイエスかノーかみたいな単純化した問題に見せかけることもあります。 解決すべき課題が一つしかないように誘導することはワンイシューやシングルイシュー政治 (単一論点政治) と呼ぶこともあります。

 個人の生き方でいえば、大切なこと、重要なことに脳のリソースを集中できるよう、考えても無駄なこと、あまり重要ではないことなどは頭の中から切り離してしまうといった考え方となるでしょう。 例えば過去の失敗などをくよくよと考えたりしない、日常 の食事や服装などは特別な場合を除いてひとつに決め、どれにするかあれこれ悩む負荷を減らすなどです。 また毎日決まったことをする場合 (起床して歯を磨く、一日のスケジュールを確認するなど) を無意識に実行できるようルーチンワーク化するなどです。

 逆に対人関係で云えば、処理しきれないほどの情報や課題を矢継ぎ早に与えて相手の思考力を奪い、自分に都合の良い意思決定に導くために悪用することもあります。 マルチ商法やカルト宗教、陰謀論 などでは、こうしたテクニックがノウハウとして蓄積・共有 されている部分もあります。

 認知負荷に対応する脳の処理能力は個人差があまりに大きく、いくつもの課題を同時に処理 (マルチタスク) できる人 (地頭 が優れた人) もいれば、そうでない人もいます。 またその時の健康状態とか、大きな悩みを持っているなどの心理的条件で大きく変動する部分でもあります。

 どのくらいの負荷を与えられたらまともに物事を考えられなくなったり 認知が歪む のかなどは、自分や周囲に害や迷惑が生じない部分で、それとなく確認してみるのも人生を活きる上での知恵でしょう。 またこちらの思考力を奪うようなコミュニケーションを日常的に取ってくる相手とは距離を置くのが身のためです。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2012年8月10日)
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