有益なサイトを他ユーザーと共有 「ソーシャルブックマーク」
「ソーシャルブックマーク」 とは、オンライン (ネット の上で) で ブックマーク (Bookmark) を行うことです。
ブックマークとは、本をどこまで読んだかわかるようにする目印、「本のしおり」 のことですが、ネットの世界では一度訪れた特定の ウェブサイト や個別の記事・エントリーなどの情報をブラウザに 「お気に入り」 として記録することを指します。 この自分のブラウザへの登録は、自分だけが見る オフライン・ローカルなブックマークとなりますが、オンラインの場合は、「ソーシャルブックマークサービス」 と呼ばれるサービスを使ってそれをネット上で行うこととなります。 略語で 「SBM」 と呼ぶこともあります。 この他、自分で 運営 管理するサイトのリンク集などを指すケースもありますが、現在オンラインブックマーク云えば、このソーシャルブックマークをもっぱら指すと云って良いでしょう。
オフライン・オンライン共に利用者が気に入ったページを登録してメモや備忘録としたり、再アクセスを容易にするなどの使い方ができるわけですが、オンラインの場合は登録したブックマークはネット上に公開され、他ユーザーと 共有 (シェア) されることを前提としている点が大きく違います (非公開の 設定 ができる場合もあります)。 すなわち 「優れたウェブサイト、便利なページを皆でシェアしよう」「良いサイトを皆に知らせたい」「他人が良いと判断したサイトやページを知りたい」「人気のページを手っ取り早く知りたい」 という使い方ができる点が特徴と云えるでしょう。
情報の集積地・発信地として
またこれらのサービスはソーシャルという言葉がついているように、SNS としての機能や性格を併せ持っています。 サービスや各種機能を積極的に利用してブックマークする人を、とくに ブックマーカー (ブクマカ) と呼びますが、自分と同じような興味関心を持っているブクマカを フォロー すれば、自然と自分が見たいと思うサイトの情報が集まることになるでしょう。 数多くのブクマカがブクマしたサイトやページはそれだけ人気がある、注目を集めている、あるいは有益な情報があるとの一つの目安になりますから、無数のサイトやページが存在する インターネット を賢く使う大きな助けになるでしょう。
さらに収集したブックマークは自動的にフォルダ分けされたり、ユーザーが任意のタグや ハッシュタグ を付けることで、ジャンル や カテゴリ ごとに整理することもできます。 これらはブクマ登録した順に並べ替えることもできますから、例えば2年前の夏はどんなサイトを見ていたか…といった自分のネット利用史の記録としても使えます。
なおオンラインのブックマークの場合、利用者によっては似た使い方をする使い慣れた機能や言葉が流用されることもあり、「いいね」(Facebook や Twitter の機能名より) とか 「ふぁぼ」(仕組みはかなり違うけれど、人によっては実質的に同じような用途で使うケースがある) と呼ぶこともあります。 これは逆に云えば、ブックマークサービス以外の SNS でも、気に入ったサイトの URL を張り付けたり リツイート (RT) することで、ブックマークサービス的な使い方をしている人が多いということでもあります。
利用者によって用途が異なるオンラインのソーシャルブックマークサービス
オンラインサービスにおける利用方法や意義は、ユーザーの考え方によって様々です。 前述の通り優れたページを集める人もいれば、単に 「内容に関わらず過去に自分が閲覧したページの記録」 として使ったり、「自分のサイトやページを紹介・宣伝するため」 に自分で自分のサイトを登録する セルフブックマーク/ セルクマ といった使い方もあります (複数の アカウント を使うなどやりすぎると 自作自演 による スパム になりますが)。
さらには 「自分や自分の仲間のサイトを宣伝する」 ために相互でブックマークをつけあう 「互助会」 が登場したり、それぞれは利用時設定の公開非公開の是非を含めて賛否両論あるものの、「優れたページを共有する」 といったシンプルな考え方からは遠く離れた使い方も広がることになっています。
また 「気に食わないサイト」「批判したいページ」 をブックマークすることによって 晒上げ て、そのサイトやサイトを運営する個人への攻撃を 煽る ような使い方もあります。 多くのソーシャル系ブックマークサービスに コメント機能 (ブックマークコメント/ ブコメ) がついていることから、特定サイトや個人をブックマーク上で 叩き、場合によっては誹謗中傷するためにも利用されるようになっています。 状況によっては バトル や論争が勃発し、ブックマークをさらにブックマークする、いわゆる 二階建てブックマーク (二重ブックマーク) などが行われ、空中戦 に発展する場合もあります。
Twitter との連携が容易で 拡散力 もあることから、結果としてブックマークが発端となったり情報の散布地となった 炎上 なども頻繁に生じていて、様々な立場や考え方を持つ大勢の人間が利用するようになり、その使い方は単なるブックマークだと一括りにできないほど複雑なものとなっているでしょう。
日本においては 「はてなブックマーク」 の存在感が突出
日本におけるこれらオンラインブックマークサービスの動きは、2005年2月10日からベータ版としてサービスを開始した 「はてなブックマーク」(はてブ) を中心に、もっぱら起こっています。 これは 「はてブ」 の存在感が類似サービスを駆逐するほど日本においては支配的であること、初期段階から IT 関係の著名人やネット論客が集っていて、極めて強い影響力を持っていたことが影響しているのでしょう。
そしてネットでの注目と存在感が上がるにつれ、対策でも 「はてなにおけるブクマが有利に働く」 ようなケースが生じるようになり、いわゆる SEO (検索エンジン最適化) を目指すサイト運営者や胡散臭い情報商材系の業者、アフィリエイト で稼ぎたい人などが自然と集まって来て、evil (悪) な使い方が生じやすい構造となっている点も大きいからでしょう。
「はてな」 は様々なサービスを展開しており、とくに2001年7月15日からサービスを開始した 「人力検索はてな」、2003年1月16日開始の 「はてなキーワード」(はてなダイアリーの機能の一つ) は同社の他サービスとも連携し、登場からしばらくすると、Google といった検索サイトの検索結果に対して、極めて強い影響力を持つようになっていました (何らかのキーワードで検索すると、だいたい 「はてな」 の関連ページなどが最上位に表示されていました)。
その後 「はてブ」 が始まると、検索エンジンに対する強さもあって、