個性的で他とは違う特徴がある 「キャラ立ち」
「キャラ立ち」(キャラを立てる) とは、キャラクター に個性がありそれが際立っていて他と容易に区別がつくこと、見る者にそのキャラ固有の特徴や性質などがしっかり伝えられていて、独立した一人のキャラとして 認知 されていることです。 英語のキャラクターという言葉自体が個性や気質、人格といった意味なので、それがしっかり立っている、確立しているとのほぼそのまんまの意味となります。
マンガ や アニメ といった創作物に登場する架空のキャラに対して使うこともありますが、実在人物に対して 「キャラが立っている」 と表現することもあるでしょう。 おおむね個性的過ぎるくらい個性的で、他の人とは明らかに違う人並み外れた特徴を持っているといった意味で使われます。 単に目立ちすぎているだけの人や奇人変人の類を揶揄する使われ方もされますが、一般に没個性よりは個性的な方が好ましいと考えられがちなので、キャラ立ちも ポジティブ なイメージで使われることが多いでしょう。
逆にキャラが立ってないといった場合は、個性がなくてぼんやりした印象しかない人やキャラ、画一的でありきたり・似たものがたくさんあって見分けがつかないような平凡で存在感のない人やキャラとなります。 「その他大勢」 とか、俗語で モブ や 量産型 などと呼ばれ揶揄されることもあります。
一般に個性がないと云うと 地味 で目立たないといったイメージもありますが、他の追随を許さないほど地味で目立たない場合は、それはそれでそれがその人やキャラの個性として際立ち、逆にキャラが立つ場合もあります。 反対に単に見た目が派手だ、奇抜だといっただけでは、キャラが立っているとまでは云えないかもしれません。 とくに創作物のキャラの場合、単なる記号としての見た目の派手さもありますから、外見だけでなく一人の人間として人格が宿っているくらいでないと、存在感は示せないかも知れません。
なおキャラ立ちという言葉自体を造語した人は判然としないものの、創作の世界でこうした 概念 を広め、事実上の 元ネタ として考えられているのは、著名な劇画原作者の小池一夫さんが漫画家や原作者養成のために 主催 した劇画村塾 (1977年〜) において、マンガ制作の方法論の一つとして提唱したものだとされます。 面白くて読者に受けるマンガは 「キャラを立て (起て) なきゃダメだ」 という訳です。
オリジナルと二次創作では、キャラ立ちも変わる
例えば 二次創作 の場合、その元となる作品のキャラを借りてくることが多いので、キャラ立ちそのものは元作品に頼る場合が多いでしょう。 一方で、元作品ではぼんやりとした印象しかないキャラが、二次創作で熱心な ファン によって強い個性やキャラ立ちを与えられることもあります。 この場合、元作品である原作からかけ離れたものであれば批判されたり キャラ崩壊 などと呼ばれることもありますが、説得力と面白みのある 解釈 で行われたものは、その二次創作の ジャンル の お約束 や事実上の 設定 の扱いがされる場合もあります。
元作品などない オリジナル な作品やそのキャラ (オリキャラ) の場合、キャラを立たせるのは大変です。 そのキャラがいるであろう 世界観 を含め ゼロから1 を創造しなくはなりませんし、またキャラはただ立っていればよいというものではなく、見る人に好感を持たれ理解あるいは共感されるものでなければ受け入れられません。 やり過ぎるとあざとさが鼻についたりただの変人になってしまうこともあります。
髪型やファッションを含めた外見にせよ言動にせよ、およそ人のあらゆる要素や 属性 が 萌え要素 などと呼ばれ類型化される中、それまで見たこともないような新規性のある個性を 開発 したり独自性を出すのはほとんど不可能に近く、仮にそれが出来ても、そのキャラ立ちが魅力的であればあるほど大量の模倣者や追従者を生み出してすぐに埋もれてしまうといった部分もあります (先駆者のジレンマ)。 むしろ メタ な部分である 作者 の画風や作風とそれらとの組み合わせの中で、やっと 「他にはいないキャラ」 ができるかどうかといった感じかもしれません。
キャラクターの立ち姿の場合は…
なおキャラクターが立っている姿が独創的だった場合、キャラ名などが接頭されて独自名称化することもあります。 有名なのは人気マンガ 「ジョジョの奇妙な冒険」 に登場するキャラらがファッションモデルのように決まったポーズで立つ 「ジョジョ立ち」 でしょう。 あるいは ゲーム 「ストリートファイター」 シリーズに登場するベガの 「ベガ立ち」 も、おたく用語 として広く使われています。 またキャラが立っている姿を描いた 絵 (キャラ絵) を、一般に 立ち絵 と呼びます。
これらはキャラが立っている姿を形態として描いただけのものを指すもので、ここでいう 「キャラ立ち」 とは直接的な関係はありません。 しかし立ち姿やポーズはそのキャラの個性や性格がよくあらわれる部分でもあるので、全くの無関係と云う訳ではありません。 キャラが立っていれば立ち姿もサマになるといった感じでしょうか。