とにかく可愛いキャラ出しとけばええやろ 「キャラパンフ」
「キャラパンフ」(キャラクターパンフレット) あるいは 「パンフレット作品」(パンフレットゲーム・マンガ・アニメなど) とは、ただひたすら多数の キャラクター (登場人物) が出てくるだけの作品、あるいは中身や面白さがなくてそう見えてしまうような コンテンツ のことです。
一般的に多数のキャラが出てくる作品は 「群像劇」(グランドホテル方式、アンサンブル・プレイとも) などと呼ばれますが、キャラパンフ作品の場合は群像劇と呼ぶほどきちんとした 世界観 や一本筋の通った物語がなく、キャラごとのちょっとしたエピソードの積み重ねだけで物語が進行します。 その結果ただひたすら多数のかわいい (あるいはかっこいい) キャラクターが代わりばんこに出てくるだけの作品に感じられてしまうことになります。 「内容がない」「見た目だけ」 といった意味があり、おおむね侮蔑的、批判的に呼ぶときに使う言葉でしょう。
さらに おたく が喜びそうな美少女ばかりがたくさん出てくる作品を、より 露悪的 に 「美少女動物園」「品評会」「回転ずし」 などと呼ぶこともあります。 これは性別を男女逆にした女性向け作品における イケメン なキャラだらけの作品でも同様です。
二次創作の素材として見ると優秀すぎる 「キャラパンフ」
こうした作品は、その作品単体で見ると細切れのエピソードを寄せ集めただけの起伏のないつまらない物語であったり、作品に核となるメッセージがなく 作者 が何をいいたいのかわからない場合も多いものです。 結果として 感情移入 しづらいために印象にも残りづらいものになりがちです。
しかしこれが、同人 や 二次創作 の 「元ネタ」「素材や モチーフ」 として考えると、様相が一変します。 文字通り 「二次創作するためのキャラクターのパンフレット」 として極めて優秀であり、十分に魅力的なキャラ造形と最低限の 設定 やエピソードさえあれば、見る人の想像力を存分に掻き立てる存在となります。 場合によってはそれだけでキャラ人気が爆発し、わずかなセリフや印象に残る言葉が ネット で名言に仕立て上げられて ネットスラング として流行し、作品自体も大化けするケースがあります。
とりわけ美少女や美少年・美青年が大量に登場する ネトゲ やソシャゲは、ほとんどがキャラパンフ状態で 供給 されているとも云え、ファン の自由な カップリング や 妄想 を妨げないという点で歓迎され、時に 覇権 となるような作品も登場しています。 というかほぼネトゲ・ソシャゲ系はそれが主流でしょう。
また物語や設定が薄いため、そのキャラクターを演じた声優さんなどの存在感が相対的に高くなり、声優に対する 萌え や 推し の感情がとても大きなウェイトを占めることもあります。 キャラ人気だと思ったら実は 中の人 の人気だったといったことはよくあります。 これはアイドルものや歌がある楽曲が使われる多人数キャラ作品と相性が良い (というか相互作用する) もので、人気声優をゲームに起用したり、キャラに なりきり ながらも声優を前面に押し出した 公式 のライブやコンサートといったリアルな イベント が増加する理由のひとつともなっています。
ただし ゲーム が人気となりその後 アニメ になるといった場合は、ゲーム段階で盛り上がった二次創作設定が公式でも一部使われたり、元々の設定に調整や変更が入るなどして、二次創作に興味がないファン、あるいは使われた設定とは異なる設定が好きなファンから批判が生じることもあります。 さらにゲーム段階で人気がでたキャラのみがアニメで優遇され、そうでないキャラが冷遇されるなど、元々が総花的な作品だった場合には、媒体による 解釈 や設定違いの温度差から様々な争いが生じることもあります。
量産型キャラをありがたがるファンを揶揄する意図も
こうしたキャラの扱いは、大人数で活動するアイドル グループ や、前述した群像劇などからも影響を受けているのでしょうが、好みの多様化が進む中、あらゆる 要素 や 萌え属性 を大勢のキャラに割り振ってまとめて提供することができる仕組みとして、時代を下るにつれますます増える傾向にあります。
一方で、大量のキャラを創るためどうしても類型化や他のコンテンツとのキャラ被りや類似化は避けられず、また 「数撃ちゃ当たる」 的なイメージも持たれがちで、作品への評価の他、量産型 のキャラをありがたがり熱を上げるファンや 信者 を冷ややかに見るような意見もあります。