URL の一部を消してワンクッション… 「h抜き」
「h抜き」 とは、ネット に存在する ホームページ (ウェブサイト) をはじめとする コンテンツ の URL を 掲示板 などに 書き込む 時に、リンク にならないように URL の文字の一部、冒頭の 「h」 を 抜く ことです。 「h抜きURL」 や 「h抜きリンク」 と呼ぶこともあります。
例えばこの用語サイトの URL は 「https://www.paradisearmy.com/doujin/」 ですが、これの冒頭の h を抜いて 「ttps://www.paradisearmy.com/doujin/」 といった形で書き込むこととなります。 この URL のページなどを見たい場合は、いったんこの h 抜きの URL 文字列をブラウザの URL欄に コピペ して抜かれた冒頭の h を自分でつけ足してアクセスしたり、文字列で検索して検索結果からリンクを辿る必要があります。
なぜこのような面倒なことをするのかと云えば、そのまま全ての URL を書いてしまうと掲示板の機能によってはそのままリンク設定となってしまい、書き込んだ URL にアクセスが殺到したり、リンク先のサイトなどの 管理人 がアクセス解析を用いている場合にリンクが設定された書き込み元が先方に見えてしまったりと、相手に 「掲示板で話題となっていること」 を知らせてしまう可能性があるからです。
俗にヲチ (ネットウォッチ = ネット上の個性的な様々なサイトや管理人をウォッチ (定点観測) して楽しむこと) は、相手がこちらの存在を知るとサイトを閉じたり内容の修正や削除を行ったりするので、「相手に気づかれないように配慮する」「相手を触らない (コメント欄 などに書込みをしない)」 のがある種のマナーや紳士協定のようになっています。 そのため、クリック一発で誰でも簡単にリンク先に飛べてしまう 直リン は避けようとの認識があります。
また エロ い 画像 やグロ画像などを貼る場合、直接飛べてしまうリンクだと不用意に開く人が出るので、注意喚起の文章を入れた上でワンクッション置いて 「見るなら自己責任で見てください」 という意味合いで h を抜く場合もあります。
なお掲示板によっては、宣伝のための スパム を避けるために URL の書き込みを制限している場合もあり、この場合も h を抜いたり URL の一部に全角スペースなどを挿入して、URL の形を崩す必要があります。 リンクに関する 設定 や考え方は管理者や利用者によって様々で、h を抜いていても自動的にリンク設定になる場合もありますが、日本でネット文化が広がる中で培われたある種のマナーなのでしょう。
2ちゃんねる などの場合、URL をそのまま書き込みしても間にクッションページが挟まるようになったので、時代を下ると h 抜きも単なる 「配慮してます」 といったマナーアピールの ニュアンス が強くなりますが、ツイッター といった SNS でも行っている人が結構いますし、古き佳きネットマナーというか、謎ルールとして守られたりそれを古臭いと嫌う人もいるような状況もあります。
違法データのやり取りと h抜き
なおこれらとは全く異なる理由で h抜きを行っていたケースもあります。 代表的なのは違法データ、とくに無修正のアダルト画像や、とりわけ危険性の高い 児童ポルノ に関係する URL などを書き込む際に、摘発や法的責任から逃れるためというのもあります。 これは違法データや違法サイトの URL を書き込んだ場合、それだけで犯罪になる可能性があるためです (実際に逮捕者も出ており、裁判でも有罪となっています)。
とはいえ実際は h を抜いたくらいでは責任から逃れることはできませんから、もう少し工夫をしたり、違法データを アップロード した後に短時間ですぐ消えるような アップローダー、しかも海外の アングラ なところにするなど、様々な摘発逃れが行われていました。 ただし誰でも見ることができるような掲示板におおっぴらに書き込むようなリスクを侵す人は当然ながら極めて少なく、データのやり取りも WinMX や Winny (ny)、Share などの匿名性が高い ファイル共有ソフト (P2P ソフト) を使うことが多かったので、その目的で h抜きをする人は少ないか、あるいはこれらを踏まえた ネタ や 騙し のケースが多いでしょう。
なぜ冒頭の 「h」 なのか
一文字抜くとしてもそれがなぜ冒頭の一文字、すなわち h なのかについては、一般的にネット上の URL は、共通する 「http:」 や 「https:」 から始まるケースがほとんどで、誰でも容易に類推できるからです。 この冒頭部分以外の文字を抜くと、それが何であるのかを推し計るのが容易ではないため、もっとも手軽で確実な冒頭の h 抜きが広がることになりました。
ただし人によっては URL の任意の一文字を抜いて、「○の部分には○の頭文字を入れる」 のようなヒントをつけた謎かけ的な書き方になったり、一部の掲示板のコアな利用者らで共通した特定の文字や文字列を持ち、「○にはいつものやつ」 のような 「わかる人だけわかるように」 書く場合もあります。 同じ文字で一部を全角大文字にするなど、それと分かる 伏せ字 のような隠し方をする場合もあります。
「http:」 とか 「https:」 って何?
ちなみに共通する 「http:」 の意味ですが、これは インターネット で文書などを記述するための言語 HTML をやり取りするためのプロトコル (通信手段) であるのを示すものです。 「http:」 に s がついた 「https:」 は、大雑把に言えば暗号化された通信 (SSL) だとの意味で、それぞれサーバなどの設定によって非暗号化通信・暗号化通信のような意味で使い分けられます。
なお一昔前までは、「https:」 は個人情報の入力フォームとか、クレジットカード の情報を入力して決済するような高い安全性が求められる重要な場所でのみ使われるものでした。 非暗号化ページから遷移する際は、しばしば 「暗号化されたページへ移動します」 といったアラートが表示されるような、ある種の特別なページといった扱いでした。
しかしその後セキュリティ対策意識の高まりと共に、現在ではほぼ全てのサイト・ページで https化 (常時SSL化) がされるようになっており、Google といった検索サイトでもそれを推奨。 それに伴い非暗号化・暗号化ページの行き来にアラートを表するようなこともなくなりました。 しかし URL 文字列の s のあるなしは厳格に区別されるため、「はてなブックマーク」 など一部の ソーシャルブックマークサービス で同じサイトなのに s あり s なしで別サイト判定がされたりリンク切れなども発生し、古いサイトの情報を探るのがちょっと面倒にもなっています。