「無料本」 といっても、2種類あります
「無料本」 とは、そのまんまですが、同人誌即売会 (同人イベント) で頒布価格ゼロ円で配布される、無料の 同人誌 のことです。 「無料配布本」 とも呼びます。 ただし最初から無料で配ることが前提で作られたものと、作者 の気まぐれ、あるいは切羽詰った状況などから、急遽無料で配布されることになったパターンと2つの種類があります。 またそれぞれのパターンでさらに状況により細分化されます。
最も多いのは 原稿 の執筆が間に合わず、本が 落ちた、すなわち 「まともな同人誌」 として完成させられなかった場合に、読者 に対するお詫びとして配るために作られる簡便な 同人誌 である ごめんなさい本 でしょうか。 多くの場合は コピー誌 のような体裁で、無料のほか、10円とかの 自虐 的な価格で出る場合もあります。
似たものに、突発本 なんてのもあります。 ノリ やその場の勢いで作ったマニアックで小規模、少ない 部数 の 「同人誌」 である場合が多く、「いつもうちの同人誌を買ってくれる皆様に」 みたいな感じで、無料で配られる場合が結構あります。 また無料の 限定本 が作られる場合や、極めて稀なケースでは、作者が大好きな 同人作家 にプレゼント、「献本」 するためだけに、ちょっとした手作りで無料の豪華本を作って持ち込むケースもあります (パロディ の元となった作品の原作者に向けたものなのが多いですね)。
本来は有料本なのに、「無料本」 になるケース
これらとは別に、当初はきちんと値段をつけて 頒布 しようとしていたけれど、様々な事情により、当日に無料になるようなケースもあります。 例えばイベント当日に 直接搬入 で 印刷屋 から 「同人誌」 が届いたが、印刷 の仕上がりがあまりに酷い出来で、とてもお金をいただくわけにはいかない…なんてことになった場合などですね。
またその同人誌を作っている時には、その作品の 元ネタ の アニメ や マンガ、キャラクター や カップリング に ハマって いたけれど、イベント参加の頃にはすっかり熱が冷めて、「もうこの ジャンル は卒業するので、どうぞ無料で持っていってください」 との餞別みたいな感じの扱いもあります。
この手の 「無料本」 は、ネット が普及してサークル側が不特定多数に事前に情報を 告知 することが可能になっていくぶん状況は変わりましたが、それでも 「狙って手にいれる」 ことが可能な状況ではなく、手に入れるためにはかなり 「運」 の要素が強いものです。
持ち帰るのも面倒なのか、同人誌を捨ててゆくサークルなども…
なお上記のケースとはまるで異なる特殊なパターンに、アダルト系の よろずサークル (オールジャンルのサークル) のパターンもあります。 「このアニメがイベント開催の頃にはブレイクしているはずだ」 …なんて 「ヤマ」 を張ってその作品の 二次創作 による 「同人誌」 を大量に作ったのはいいけれど、ぜんぜん鳴かず飛ばずで当てが外れ、売れ残って在庫が大量に生じた場合などにも、イベント終了寸前に 「無料でいいですので、持っていってください」 なんてやる場合もあります。
中には、それでもさばけないで残った本を、そのまま ゴミ コンテナに捨てるような イナゴサークル なんてケースもあります。 原稿を描いている時点では 「これが来る」 とジャンルを読んでいたものの外れ、「不良在庫の処分」 とばかりに投げ出したり捨てたりする感じですね。
まぁ 同人サークル にもいろいろなところがありますから、生業、商売としてやっている場合、こういう判断もアリなのかも知れませんが (売れない本を持っていても無駄ですから)、しかし 「本を踏んづけると目が潰れる」 とか親に言われて育った世代としては、真っサラなできたての本を一度も開かず捨てるこの感覚は、ちょっとついていけないです。