大規模なイベントなどでは禁止されることもある 「限定本」
「限定本」 とは、その本の 頒布 の時期や頒布部数が限られた 同人誌、もしくはそれらが極めて短かったり少なかったりする特殊な同人誌のことです。 そのまんまの 「限定 な本」 という意味になります。
この呼称を使う場合には限定の内容が接頭され、例えば 「50部限定本」 とか、「先着 60名のみ限定本」 などといった、「希少性」 を煽るようなものが多いのですが、なかには 「イベント終了前10分間のみ限定頒布本」(これを買った後は、イベント会場 の後片付けをついでに手伝ってね…みたいな意味があります) とか、サークルスペース で簡単なクイズを出して答えられた人だけに頒布したりなどという、シャレが利いたものもあります。 「限定本」 と一口に云っても、その種類や目的、パターン、名称は様々です。
同人誌即売会 などの同人イベントを盛り上げたり、自分たちの 同人サークル に熱心に通ってくれる ファン などへのサービスとして、かつては多くのサークルや、とりわけ人気のある 大手サークル などが好んで作ったり頒布したりしていました。 また同人誌の 書店委託 などが盛んになると、「この本は書店には並べません」 との意味で 「イベント配布限定本」 と呼ばれるものも出てきています。
「徹夜」 などを招くとして、原則禁止に…
しかしその後、同人の世界が大きく膨張し参加者が増えるとともに、様々な問題が生じるようになります。 例えば購入を求めるファンが必ず手に入れようと禁止されているイベント開催前の 徹夜 をしたり、イベント開始と同時に会場内を大勢で走ったり (走り屋 などとも)、さらにはオークションやフリマサービスなどでの 転売 や 転売ヤー の増加、それによる高値落札の横行・金銭 トラブル の発生などです。 その結果、コミケ などの大規模イベントなどでは、「限定」 とか 「限定本」 といった名称を使っての 一般入場者 への 告知 や宣伝は禁止されるようになっています。
いわゆる ピコ手 (頒布数 のあまり多くないサークル) などは、限定以前に、そもそも普通の同人誌自体を20冊とか30冊しか作らないケースもありますし、これは日ごろ数千部以上の大きな 部数 を発行している 壁サークル など大手に特有の現象ではありますが、「○○限定」 と宣伝や告知などで伝えなくても、特定の作品が実質的に数が少ないのを多くのファンは知っていますから、あまり問題の解消や緩和には結びついていないイメージです。
一方、小規模な オンリーイベント などでは参加者を少しでも集めるため、あるいは自分と同じ ジャンル を頑張って盛り上げてくれているイベントの 主催者 の意気に応える形で、積極的に 「イベント○○限定本」 などと銘打った同人誌を出したり、それを他のイベント参加時の ペーパー や ネット での 告知絵 の配布などで PR する場合もあります。
この場合は集まる人もそのジャンルの熱心なファンの人だけですし、集まるサークルの数自体が少なく転売目的の参加にあまり旨味がないこともあり、よほど人気のあるジャンル (転売などで 需要 のある) でもない限りトラブルが発生することも少なく、基本的に歓迎されるケースが多いようです。 これは小規模な 地方イベント なども同様の傾向があります。
その他の特殊な呼び方としては…
なお 1限 (1人につき1冊のみ頒布) のような 「販売規制」 は限定本とは呼びません。
また 「希少本」 の場合は、発行部数が多くても、時間が経過するなどして、結果的に在庫や本そのものが残り少ないという意味になります。 珍本や レアアイテム とも呼べるような希少本などの場合には、明確な基準はとくになく、使う人によって意味は様々といった感じです。