創作物として扱いやすい上に女性が年齢をぼかすにも好都合 「17歳」
「17歳」 あるいは 「永遠の17才」 とは、おたく の世界ではその年で 永遠 に留まることが許される魔法の年齢のことです。 生まれてからおよそ6,192日程度以上、日本では高校2年生か3年生で、子供でもない、でも大人でもない、未熟で多感で思春期&青春真っ只中のきらめく年齢だと云えます。
マンガ や アニメ、ゲーム や ラノベ で学園ものの 作品 の場合、中学2年生か3年生に相当する14歳と並び、「学校を舞台にした 物語 を作りやすい」「半分子供で半分大人の繊細で微妙で、だからこそ魅力的な年齢」 だと認識されることもあります。 新1年生として入学とそこでの出会いを描くことはできませんが、体育祭・文化祭はもとより、修学旅行や進学に向けての不安、卒業での別れの切なさなど、学校行事に絡めたドラマが描きやすいですし、出会い自体は転校生という形で代替できるので、ちょうど中間の2年生が便利だという部分はあります。
なお成人の場合はその直前となる19歳や晴れて成人となる20歳 (その後18歳に前倒し) もしばしば選ばれ、14歳JC、17歳JK、20歳JD (場合によっては 9歳JS・10歳JS も)は、架空キャラや年齢詐称の際の 定番 といって良いかもしれません。 ポイントはそれぞれ学校行事が盛んな時期であること、サンタを卒業するとか思春期になるとか就活を通じて社会の厳しさを感じるとか、心が揺れる物語に適した人生の季節ということでしょう。
一方、17歳が特別な年齢だとして おたく用語 のようにことさらに扱われる 元ネタ については、1990年代の声優ブームの立役者の一人であり、雑誌 「声優グランプリ」 創刊号 (1994年) の 表紙 も飾った実力派かつ人気声優の井上喜久子さんの コメント や、自身の事実上のキャッチフレーズから来ています。 直接的には、1998年に井上さんが、当時17歳だった新人声優 山本麻里安さんのラジオ番組に出演した際の、場に合わせたシャレの 自己紹介 「17才の井上喜久子です」 がそれに当たります。
「17才の井上喜久子です」 発言が話題に
この 「17才」 コメントは話題となり、以降も井上さんはこのフレーズを自己紹介の際にしばしば使用。 ファン からも好意的にそのように扱われて 認知 され、その後は何年経とうがそのままずっと17才が ネタ として定着しています (毎年お誕生日を祝う 生誕祭 でも17才 (17歳) として扱われます)。
「井上喜久子17才です「おいおい!」 |
またここから転じ、井上さんを中心とした女性声優らによる グループ を 「17才教」(17歳教) と称したり、その参加者を入信者、ファンを17才教の 信者や信徒 と見なしたり、まとめて 「永遠の17才」 といったフレーズでくくって使われるようにもなっています。 業界をリードする人気声優のこのフレーズはインパクトが強く、その後は17才教入信者である他の声優もしばしば17才を自称。 中には 「17才+〇日」 や 「〇回目の17才」 といったアレンジ表現も使われるようになっています。
井上さん出演作を中心にアニメなどでも様々な パロディ (17歳自称後の周囲からの 「おいおい」 との ツッコミ も含めて) も行われ、これは冗談や ノリ という部分もありつつ、演技力によって17歳どころか小学生少女にも少年にもなれる声優さんという職業への自負でもあるのでしょう。 またその是非はともかく昔から女性に年齢を訊ねるのは野暮とかあまりつまびらかにすべきでないみたいな社会的な暗黙の了解もありますし、年齢をぼかすにしても、17歳と云い張るのはシャレが利いていて面白みがあると感じられる部分もあるのでしょう。
井上さんは2022年1月23日に ツイッター の自身の 公式アカウント 「井上喜久子&スタッフ」 で 「17才教ってね、若く見せたい訳じゃないの。若く生きたいだけなの。」 とした上で、「人は年齢を重ねた方が絶対に素敵だと思うし「17才です」って言って「おいおい」って返してくれる時に、ちょっとでも誰かが笑顔になってくれたら嬉しいなって😊🎀」 と、その意義を語っています。 同年9月24日には著書 「井上喜久子17才です「おいおい!」 を発売。 合わせて可憐で華麗な 制服 (女子高生風の ブレザー に スクールリボン) 姿を披露しています。
なお井上喜久子さんの実娘である井上ほの花さんも声優として活躍されており、2015年にデビューした際の年齢はくしくも同じ17歳でした。 母娘揃って17才だとして、おたく 界隈 を中心にネットニュースなどでも大きな話題となっています。
Vtuber には 「17歳JK」 がいっぱい
ちなみに声優さんだけでなく 配信者 や Vtuber などにも17歳を自称する方が大勢いますが、配信でお酒を飲んだり 18禁 の話題に触れる時だけは、コンプライアンスというか建前上 「今日は20歳です」「今だけ 成人済み です」 などとエクスキューズを入れるのが お約束 にもなっています。 ちなみのついでに、この 同人用語 サイトのイメージキャラである 同人する子 ほかも、年齢不詳あるいはバリバリの17歳JK 設定となっています。
ついでの蛇足で、年齢ごまかしやサバ読みで 筆者 が好きなものに、1986年から続く志村けんさんの人気番組 「志村けんのバカ殿様」 で 鉄板 となっていた由紀さおりさんの年齢詐称ネタがあります。 志村さん演じるバカ殿が、由紀さん演じる腰元・御女中に 「歳はいくつじゃ?」 と年齢を訊ね、由紀さんが 「16です」「15でございます」「11でございます」 などと答えると、それにバカ殿がブチ切れて尺八の殺気だった BGM とともに刀に手を掛けるというものでした。
その後 「〇歳の女が□□などするものか」 と由紀さんを年齢ネタで問い詰め、そこにいかりや長介さん演じる家老が割って入って 「さすが殿」 とサバ読みを看破したバカ殿のお目の高さを褒め、バカ殿の 「そりゃそうだ」 で場が収まって終わります。