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自分の中でオリキャラが人気争いをはじめる… 「オリキャラランキング」

 「オリキャラランキング」 とは、創作活動をしていて オリキャラ (自分で創造した オリジナルキャラ、マイキャラ、うちの子) を複数持つ中で、その中の誰が一番のお気に入りかが心の内で折々に変化し、その変化に葛藤や迷いが生じてしまうことです。 オリキャラ選抜戦や勝ち抜き戦と呼ぶこともあります。

 例えば自分でオリジナルの マンガ を描いているとして、そこには 主人公脇役 など様々なキャラが何人かいることが多いでしょう。 商業 ならともかく、趣味同人 なら自分の好きなキャラを主人公に据え、それが一番であることが多いのですが、何話か描いているうちに主人公であるが故に行動に制約が出がちなお気に入りキャラに対し、自由に動かせる、あるいは筆が乗れば勝手に動き始める脇役に、むしろ親しみを感じたり好きの感情が高まることがあります。

 また同時進行でいくつかの異なる作品や物語を描いていて、それぞれの作品の主人公や登場人物の中の 「一番」 が、折々で変化することもあります。 例えば作品Aを描いている時はその作品の主人公が一番だけれど、作品Bを描いている時はそちらの主人公が一番になってしまうような状況です。 人はずっと見続けている直近の対象に、その時点でより強く親しみを感じるものです。

 こうした 「作者 の中で自分が創った何人かのキャラの中の一番、あるいは人気のランキング」 は、通常はあまりあけすけに表には出ないものです。 とくにプロ作家の場合、それぞれのキャラに ファン がいるため、安易に口にすることはできないでしょう。 しかし作品をじっくり読むと 「あ、作者はいまはこの子が好きなんだな」 と感じられることがあったりします。 まぁ場合によっては特定のキャラの熱心すぎるファンが、自分の 推す キャラが冷遇されていると被害妄想に陥り、勝手に作者の心の内を想像したり決めつけたりして、誹謗中傷でそれを行う場合もありますけれど。

好きなキャラを大事にし過ぎた結果、どうでもいいキャラが急上昇したり…

 こうした感覚は人によって強弱がありますし、「自分の描いたキャラは全部同じくらい好き、全員自分の子供のようなものだから優劣はつけられない」 という人もいます。 それでも描いている時に 「今はこの子を描くのが一番楽しい」 みたいな瞬間はあったりもするものなのでしょう。

 ちなみに 筆者 でいえば、自分のお気に入りの キャラデザ やキャラの 設定 はあり、そのキャラは、それこそ漫画を描き始めた小学生の頃からあまり変わらず、いつでもだいたい人生の中で一番です。 ですがやっぱり2人目、3人目といったキャラを創るとその時々で好きが変化することもありますし、それが自分の中でも許せない時があって、無理やり1人目から3人目までを の関係として同列にしてしまったり、他人から見たらほんとにどうでもいい事なんでしょうけれど、自分の中でそれぞれのキャラの関係性にあれこれ頭や心を悩ませるものでもあったりします。

 一番困るのは、健全 なキャラと エロ なキャラとの役割分担の葛藤ですね。 好きなキャラ、大切なキャラは酷い目に遭わせたくないのである種 聖域化 し健全なキャラとしてのみ描き、エロなキャラはそれとは別の で創ったり描いたりするのですが、やっぱりエロは描いていて楽しいのでつい熱が入り、熱が入る中でどんどん自分の好きがつぎ込まれそれに自分の感情も引っ張られ、あるタイミングで 「この子をこんな目に遭わせるのは かわいそう だ」「何で作中の クソ 雑魚 モブ に大事なうちの子をいいようにさせているのか」「その子から手を放せ! 殺っちまうぞ ゴミ カス が!」 という親心や嫉妬が生じて身動き取れなくなることがよくあります。

 お気に入りの健全なキャラを描いている時は 「かわいい」 なのですが (ある意味家族や片思いの相手)、エロなキャラを描いている時は、いつしか手に握るものがペン以外のものになったりもすることがあって、ほとんどそのキャラと夜を共にしているような感覚にもなってきます (ある意味恋人や配偶者)。 そもそもキャラの魅力がしばしば最大となるのが恋愛描写やエッチな行為の描写だったりもするので、そればかりが続くエロなキャラはどうしても特別な存在になりがちです。 いつしか描きためたエロマンガの 原稿 全てを 黒歴史 として破棄し、過去のエッチな描写は自分の中で 「一切なかったこと」 にして、別枠のエロキャラとして生まれたはずのキャラが健全なお気に入りキャラに 「昇格」 することになったりします。

 このあたりは一度でも外部発表した後だとキャラの役割もある程度固定して後戻りができなくなったりしますが、そうでなければずっとあれこれ葛藤があり、まるで思春期の頃のように、恋心と性欲の区別ができなかったり、守りたいと思ったり いじめ たいと思ったり、きれいなままでいて欲しいと願ったり汚したいと思ったりと、あれこれの感情でぐちゃぐちゃになる未熟さの追体験をしている部分もあります。 人によっては正反対に、一番好きなキャラだからこそ脱がせたい、一番のお気に入りキャラだからこそエロに昇格というケースもありますし。

 筆者の場合、元々自分の描いたエロマンガは世に出すつもりはあまりないのですが、こういう経緯もあって完成することも少ないです (多分人生で一番長く描いたエロマンガはその1本だけで200ページを超えてますが、それでも自分の部屋から出たことも自分以外の目に触れたこともほとんどないです (ごく一部のコマだけ、この用語集の参考図として小さく掲載しただけくらいです)。 最近は多忙もあって外部発表する予定もない原稿を描く気力もすっかり 萎え、ぜんぜん描かなくなってしまいましたが…。

 その意味ではエロマンガ描きは自分には向いていないし、趣味で描いたエロマンガを イベント ごとに発表できる 同人作家 はすごいやつらだと心から尊敬します。 いや職業として商業やプロ同人で描くなら 「わりきり」 もできると思うんです。 締め切り編集 からの電話や月末の支払いに催促されて、それを心理的な口実にもできたりしますし。

 たとえ 鬼畜 な作品を連発する作家でも自分のキャラへの思い入れがないはずがないので、単なる好きの方向性の違いなのかどうかは知りませんが (人によっては高度な 寝取られ を自キャラに感じるなんて場合もあるようですが)、趣味でそれができる人って本当にすごいです。 そもそも趣味でエロマンガ描いていると途中で握るものが変わって 賢者タイム に突入してそのまま寝てしまうので作業が続かないですよ、あたしゃ。 エロマンガ家は聖人かよほどの人格者か マシーン だと思います。

 ちなみに自分の描いたエロ画で 抜ける かどうかは、エロマンガ家やイラストレーターのポテンシャルの中でもかなり大きなものだと思いますが、一般的には加齢による身体的な衰えやライフステージの変化などにより、徐々に減衰するものと考えられます。 ただこちらも個人差があまりに大きく、何歳になっても 「もう自分で描くしかない」 と思い立って筆を執った若かりし頃の情熱そのままでいる人もいます。 筆者は何度目かの17歳ですがいまだ現役であり、心からありがたいことだと思っています。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 1999年11月15日/ 項目を分割しました)
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